ついに、ついに、中野腐女シスターズと腐男塾が積年の夢の1つである「中野サンプラザライブ」を叶えました!
とりあえず7人…じゃなくて14人に拍手!

で、感動して私がマジ泣きした話はさておき、以前ここで「そろそろ724/腐男塾をジェンダー斬りしなきゃならんだろうか」という話をしました。
…といっても私自身が斬れるほどのもんじゃないんですが;

まあしかし、まともにジェンダー論など学んでない、ごくまっさらな人間の感覚として、腐男塾は、ますます面白いことになってきたと思います。

最初の私の混乱は、以前も書いた、「草食ライオン」の歌詞です。
「草食ライオン」についてのエントリー
草食ライオンの歌詞

今回のライブでは、この歌に、ある演出が加わっていました。

まず正面のスクリーンの映像とナレーションでストーリーが流れる。
その内容は

「幻の希少生物・草食ライオンが絶滅の危機に瀕している、それを保護するために腐男塾のメンバーが草食ライオンにガオガオシールを貼りに行く」

というもの。

そして客席扉から登場する腐男塾メンバー。あがる黄色い声(笑)。ちょいちょい客いじりをしつつ、ステージ上にいる、着ぐるみの草食ライオンのもとへ。
ひととおりコントがあって、最後には無事草食ライオンにガオガオシールを貼ることができ、草食ライオンくんが元気になったところで歌に入る(だったよね…?たぶん;)
「ガオガオシールを貼って保護する」の意味は最後までよくわかりませんでしたが(笑)、なんかたぶん、貼ると元気になるってことみたいです^^;
肉食になる、とかいうことではないらしい。

で、歌の途中では草食ライオンくんが素晴らしいダンスを披露して、わーあの着ぐるみすごー!と思ってたら最後
「そして、草食ライオンは、前田健さんでしたー!」
着ぐるみの頭を取ると、あのお笑いでも活躍しているマエケン氏。724/腐男塾の振り付け師さんなのであります。

まあそんなこんなで今回ライブの草食ライオン、なかなかこれは、意味が変わってくるなー、と思いました。
歌詞をそのまま読めば、かなり男根主義な感じだし、今までイベントなどでも「草食系より肉食系、がつがつしていこうという歌」というような説明をしてたんですが、ここでは急に「草食ライオン」肯定っぽいアピールになってきた。

もちろんそこまで考えてない可能性もあるんですけど、腐男塾の歌って以前から、アイロニカルな側面を持っているんです。



『ヲタキスト』
いかにも大人目線からの、「今時のヲタク少年」たちの見られ方と、少年たちから見た大人への絶望感がコミカルに描かれながら、最後には少年が大人たちの本当の姿を理解し始めることで、2つの存在が歩み寄る。


『哀戦歌』
戦争を知らない子供たち。「知らないほうがいい事もある」とうそぶき、「世界中の人とネットゲームで撃ち合い 今日も僕は死んだ」と表す。最後の「気付けば目の前に老人が立っていた いつものように席を譲ろう」が印象的。ここでも、和解には程遠い存在同士が別の視点ではつながっていく様子を描く。

というか、この宝塚的な男性キャラクターである腐男塾のデビュー曲が「男坂」な時点でかなりアイロニーを感じるんですけどね…!
『男坂』


こういう中で、腐男塾の使う「男」という言葉は、例え本人やプロデュース陣が意識していなかったとしても、必然的に、単なる性別という意味を超えざるをえなくなってくる。

なにしろ、それを体現しているのが「性別男」の体ではないのだから。

彼らが「男」を主張すればするほど、強さや気丈さという意味で「男」という言葉が使われる場合の、その精神的な部分を抽出した使い方に見えてくる。
つまり、「男前」「男気」「男らしい」といった言葉の中の「男」であって、腐男塾がこれを発する時、性別を抜きにした純粋な精神的表現に変換されている。

「精神的な高み」を「男」と表すなら、自分たちこそその「男」だ、という《男=Man=人間》価値観へのアンチテーゼが、腐男塾の存在に込められているとしたら。

さらに、演出の中で和太鼓奏者が4人ステージ上に登場するが、舞台上手・下手に男女2人ずつという編成だったことも気になる。というのは、こういう演出の場合男性のみになることが多いと思うから。大人数で演奏する時女性が混ざっているのならよくあるけど。
また、今回、腐男塾が初めて「腐器(ぶき)」を使った殺陣を披露した。今までは「腐器」はシンボル的な意味が強く、実際に戦いに用いる様子は演じられてこなかったんじゃないかと思う。戦った相手は、黒ずくめの忍者のような姿で、それが何者かは語られず、象徴的な「悪」の描写にも見えた。そして、全員が男性だった。

やっぱり腐男塾に逆説的なジェンダーメッセージが込められているような気がしてならないんだけど、いつか真相は明らかになるんだろうか?
そして、腐男塾と背中合わせの中野腐女シスターズは、今後何を描いていくべきなんだろうか。

もしこれが私の勘違いでなければ、すごい展開かもしれない。
とにかく魅力的な彼らをこれからも見守らねばと思った。


さて、ジェンダーに一石投じるアイドルとしては、彼らも注目せずにはいられません。
GtM(Girls to Men)、この前初めて見てきました。
このニュースになってた人たちです。
http://www.nikkansports.com/entertainment/news/f-et-tp0-20100923-682164.html
はっきり言って、写真よりかっこよかったよ!笑

ライブと名のついたイベントだったけれど、持ち歌がまだ2曲しかないためほとんどの時間はトーク。でも、本人たちや周りの人間もけっこうしっかりした考え方なんだとわかって良かった。
というか本人たちこそ一番しっかりしていて、「性別」ってそもそも何なのかってことや、芸能活動という形でアピールしていく社会的な意味についても、とてもよく考えている様子でした。
周りの大人はどこまで理解してるのかよくわからないけれど、彼らの話を真摯に聞いて一緒にやっていこうとしているのは伝わってきた。

芸能界には、MtFやゲイはいるけれどFtMやレズビアンがいない、というのはさんざん言及されていること。そしてその中で「オカマは笑えるけどオナベは笑えない」っていうのもよく言われる。
なぜFtM・レズビアンは笑えないのかって話になるとちょっとこの場では扱いきれないので別の機会にしときますが、結局「笑える」ってことは、MtF・ゲイも、大メディアの中では「冗談」としてしか捉えられてないってことじゃないかと思う。
さらに、男性優位に考える社会が、男が女になるのは許しても、女が男になるのは許さない、という側面もあると思う。
GtMが本当にいろんな人の目に触れるようになれば、問い直されるのはけしてFtMだけでなく、様々なマイノリティーだけでもなく、本当にすべての性のあり方が問われるのでは。

歌やダンスはまだ少しぎこちなさが残るものだったし、アレンジがぺらぺらなのはコストを多くかけられない新人としてしょうがないと思うけれど、曲や振り付けも良く、ハーモニーが合って、みんなで力を合わせて取り組んでいることがわかる良いパフォーマンスだった。
これから4人、気取らずかっこつけない、その真摯な姿勢を忘れずどんどん有名になっちゃってほしい。
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