イエスという男イエスという男
(2004/06)
田川 建三

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これはなかなか面白かった!
聖書興味ある人はぜひ。でも聖書じたいを読んでからですね…これから先に入ると大変なことに(笑)

田川建三ってこの人クリスチャンなんですね。完全に「人間イエス」論だし、原始キリスト教会と聖書を思い切り批判してるし、不思議な感覚をやっぱり抱くなあ。といっても私も読んでほとんど同意できると思ったんですがw
しかし、むしろ元々信者じゃない人がこれを読んでイエスを好きになるっていうことはありそう。
ていうのもこれ、すごい男前なイエスだ(笑)反体制でシンプルに現実を捉えてて、でも楽天家でお酒大好き(笑)なにこの伊達男!w

ちょっと断定的に言い過ぎてて逆に疑わしくなるところも、ちらほら。
イエスとはどういう男だった、みたいなのを非常にリアルに描くんだけど、自分だって「古代人イエス」って言ってるのに人格の部分までそんな断定できるのか…?
とか、原始キリスト教会の意図をそんなに断定できるかなあ。歴史の専門的なことを何も知らない私が言うのもなんだけど、意図的に隠蔽されて、古代から今の世までその意図どおりに伝わってるっていうのが逆に不思議っていうか。
歪められたってとこは同じにしろ、それはどこかで方向性が食い違って、ていうかもっと別の歪みがどんどん入ったっておかしくない気がして。古代に志向されたある意図が、現代にまで完成されてるって、もうそこまで来たらイエスの意思と違ったとしてもそれってむしろイエスよりすごいんじゃね?とか。

しかし田川氏の労働論はとてもいい。
シンプルでまっとうな感覚がしっかり根にある。本当に今日食べるもんが無い人の前で一体何を語るのか、といいますか。
労働についてがとくに光るけど、やっぱりこの時代を「現実」として掴もうとしているところがエライんだと思う。田川氏自身の他の研究者への批判を見る限りでは、その点で他は、古代の歴史を「物語」のようにとらえてしまってるみたい。人間がそこに生きてたんだっていう感覚を田川氏は常に基本に置いている。


あと、集団心理が「奇跡」を生み出す仕組みについては、おそらく田川氏自身が思っているよりも面白かった。
…田川氏はそれが明快に説明のつくことのように割り切っているんだけど、私はそれ、本当に奇跡が起こるよりよっぽど不気味で超自然的なイメージを持った。
なので、いろんな時代や場所で「奇跡」が生まれた事例とそのからくりの推測が出るたび、面白くてふるふるしました。

そうそう、前にテレビ番組で、ある女の子の狐憑きを霊能者のおばさんが祓ってたんですよ。でも、そのやり方がちょっと驚いたんです。
その女の子の部屋に2人で入って、テレビカメラも2人以外の人はみな部屋の外で待機。漏れ聞こえてくる声は、女の子の、…ちょっと女の子が普通に出す声ではない怒号と、霊能者の落ち着いた声。話の内容はよく覚えてないんだけど、霊能者が諭したり相槌打ったりしてるうちに、女の子の声もだんだん落ち着いてきて、数時間くらいかけたんだったか、霊能者が部屋から出ると女の子は元の普通の子に戻っている。
まあそれがヤラセかどうかは私は知らないけど(よく「これこれは全部ヤラセ」とか教えてくれる人いるけど、なんでみんなそんなに芸能界に詳しいん?どっから情報が入ってくるの?というかどこから入った情報に信憑性があると捉えてるの??)
ヤラセだとしても、そういう方法論がどっかに資料としてあったのか、むしろテレビスタッフの意識の中に、「その方法はリアリティーがある」という感覚が根付いていたのか。
なんにせよ、私はそれを見て、「なんだ?狐憑きってただの精神的錯乱じゃないか?」と思ったわけです。

私は、霊…っていうものを幅広い意味で捉えた場合、それに対して人より敏感な感覚を持っている人はいるだろうと思うし、人によってはそれがなんらかの視覚的な要素として現れてもいいんじゃないかな、とも思っているんですが、そういう人にとって、精神的な錯乱や病理とかと、悪霊が憑いてるみたいなことって実は区別がないんじゃないか?と。
これ突き詰めてくと、自分と他人の境界がどこにあるのかみたいな話になりそう;「病」なら自分の内的なもので、「悪霊」なら自分の外側から何かが攻撃しているような状態で…
そしたら、集団心理から「奇跡」が生まれるっていうのも、実際に我々が「奇跡として信憑性がある」と捉えるものと、そんなに大きな意味の差があるのか…

まあ、この辺は語りだしたらどんどん脱線していきそうなので、ここらでやめてオーケンでも読みます。

とりあえずおすすめですよ!この本。別の研究者に対して糞味噌に毒舌なのも、かなり見ものですwww


(mixiへ転載)
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