トライアングル(初回限定盤)トライアングル(初回限定盤)
(2009/07/08)
Perfume

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やっぱりコンセプトアルバムだよなあ、これは。
前回の『GAME』より明確に。

んなこといいつつ、きっとこれから聴き込むほどにもっといろんなこと言いたくなるんでしょうけど、取りあえず今思った、今言いたいことを、今書くんだコラー!意気込んでまいります!
Take off!(はずかしっ)


まず驚いたのは、シングル曲が全部、アルバムで通して聴いたら印象が全然変わったこと。
アレンジを変えた『edge』と『願い』はもちろんのこと、『Take off』とつながってる『love the world』にはじまり、『Dream Fighter』、クライマックスの『ワンルーム・ディスコ』にいたるまで。
正直テレビに出演して何度もやるシングル曲は、私のような全部チェックする気持ち悪い人(笑)にはちょっと聞き飽きた感もあったので、この新鮮さはうれしかった。

おそらくヤスタカさん、『GAME』で味を占めたんじゃなかろうか。
ここまで世間に出回りまくって、アルバムを買う人のほとんどがもうすでに知っている曲を、生まれ変わらせる面白さ。それは彼にとっても、『GAME』が初の経験だったのから。



で、その変わった印象のことなんですが、もう完全にアルバムのコンセプトに組み込まれていて、非リアルな人たちの架空の世界の歌に聞こえるようになった、と、まとめて言ってしまうとそうなります。

『GAME』のときも私は、アンドロイド・シスターズやDOOPEESに比較していたんですが、今回はよりその傾向が強くなったように思う。
3人がよりキャラクター化されている。
実在のPerfumeとは異相の、架空のPerfumeが曲の中にいる。

ザ・ベスト・オブ・ジ・アンドロイド・シスターズザ・ベスト・オブ・ジ・アンドロイド・シスターズ
(2004/11/10)
アンドロイド・シスターズ

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80年代にアメリカで大ヒットした、SF大河ラジオドラマ(ってなんだ?)『RUBY』の中で、とくに人気を博したキャラクター、サーカスの花形スター「アンドロイド・シスターズ」の登場シーンをまとめた音楽集。

  
DOOPEE TIMEDOOPEE TIME
(1995/10/20)
DOOPEES

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上のアンドロイド・シスターズにインスパイアされてヤン富田が作っちゃったロリポップ音楽劇。主人公のキャロライン・ノバックが、大人の声を加工した実在しない女の子だという事実は、多くの夢見るおっさんにショックを与えたとか与えないとか



たとえば冒頭、

『Take off』→『love the world』は、
アンドロイド・シスターズで言うところの「This is Angel.×2 We are the Android Sisters.」のくだりだなあ、と思う。

「どうやらこれから、お話が始まる(離陸)みたいです」というひそやかな期待感からはじめて、
「こういう世界の、こんな女の子たちです」という自己紹介。
『Take off』のせいでイメージはだいぶSFチックで機械的。そのうえでの『love the world』の歌詞は、ちょっと冷たそうで高飛車っぽいけど、本当はやさしくてキュートな女の子たちを印象付ける。
これがプロローグ。

で、『Dream Fighter』が本編のオープニングテーマだ。
となるともちろん『edge』から本編。

しかし、前作と違う点は、『GAME』はかなりわかりやすい2部構成だったんだけれど、今回は連続モノではなく一幕モノと捉えられそうな感じだ。
そのへんはやっぱり、前作より今作の方がアンドロイド~とかに似ている。

そして面白いのは、一幕終えるごとにエンディングテーマ?っていうよりカーテンコール?があること。落としどころっぽい曲が、うしろを支えてくれる感じがあるのだ。2個イチって言ったら変かもしれないけれど…

『edge』には、『NIGHT FLIGHT』
『Kiss and Music』には『Zero Gravity』
『I still love U』には『The best thing』

そんな感じでひとしきり、宇宙空間でクールでキュートな3人組が遊びまわったら、

『Speed of Sound』

3人はどこか遠くへ、帰っていってしまうようです。

そして大団円、『ワンルーム・ディスコ』

遠い空の向こうの「キミ」を思うけれど、その3人の姿はあかるい。気分はかるい。(笑)
で、ここで終わりで本当は良いはずなんだけど……

『願い』は旅路を振り返る感動のアンコール。
こういうサービスがとってもPerfumeらしいと思うんだよね、本当に。

そういえば『願い』は中田ヤスタカが代々木ライブで見て感動して急遽アルバムに入れることになったって風の噂で聞いたんですが、ほんとかな? 本当だったらすごいな。ソース求む。


しかしPerfumeの場合、これだけコンセプティブな内容でも、アンドロイド~やDOOPEESのようにセリフとか、説明的な歌詞とかいらないんですよね。
なぜかというと、Perfumeという女の子たちが実在するから。

やっぱり、容姿っていうのは大切なんですよね。それが良いか悪いかという話よりは、顔が有るか無いかの時点のことで。
顔は一種のアイコンで、存在するというひとつの目印なんだと思う。
アルバムの中に登場するのは架空のPerfumeでも、Perfumeって女の子たちは確実に存在するということ
が、説明不要のこの奇跡的状況を生み出しているんじゃないか。


ところでもう一つ気になることがあって、Japan Countdownの番組内でも言われていた、歌い方が明快になっているという話なんですが…

『Zero Gravity』にびっくりしたんですよ。
今まで、過剰なほどに抑え込んできた感情表現が、すごく気持ちいいバランスで入ってるんですよね。とくにこの曲の、あ~ちゃんの声と歌い方。

たぶんこれもう、無理に抑える必要がなくなったんだと思う。
今は、ヤスタカの音楽は彼女たちの体に自然に取り込まれて、自然な形で表現される
「不自然で過激な表現」が消えたので、もうわざわざ抑える必要もないってことだ。
ヤスタカも、今まではこういう複雑な音程の変化はとくにエフェクトをきかせていたのに、この曲ではほとんどあ~ちゃん自身の技術力にまかせている。


しかし、この表現豊かな歌唱と反比例するように、キャラクター化、記号化されて、彼女たち自身とはかけはなれていくアルバムの中の主人公"Perfume"。
歌い方が豊かになった一方で、誰の声だかわからないほど、ロボット的なエフェクト声になっている部分もある。

この反比例は、完成された作り物であるほど、作り手のヤスタカも表現者であるPerfumeも、クリエイティブになっているということを感じさせる。
同じJapan Countdownのインタビューで、「今回一番中田さんが人間っぽかった」とか、「指示がたくさん出た」、「よく笑ってた」、Perfumeとヤスタカの「やりとりが多かった」……といった話があった。
つまりPerfumeとヤスタカは、クリエイティブとして一緒に作品をつくっていくという、より人間的な関係に近づいてきたんじゃないだろうか。

いや、この2者だけじゃない。チームPerfume全体のことだ。
バラバラの方向からやってきた寄せ集めチームPerfumeが、ひとつの形に固まってきたために、今までで最も完成された「作り物の世界観」、「作り物の女の子」が出来上がった形だ。


よく一般に描かれるヤスタカ像として、音楽へのこだわりが第一で、人の声は音で遊ぶための材料、みたいなイメージがある。
しかしこの『⊿』……とくにアレンジバージョンの『edge』と『願い』を聴いていると、彼には、少なくともPerfumeにおいては、音楽的表現のこだわりよりも、もっと優先すべきこだわりがあるように思えてくる。
『edge』も『願い』も、どう聴いても、アルバムのコンセプトのためのアレンジを施されていると思う。
それは、1曲1曲の音楽的な面白さより、全体のストーリー的な面白さを最優先しているようだ。



これには、もしかしてPerfumeのライブパフォーマンスが大いに影響しているんじゃないかと、考えさせられてしまう。
だってアルバムで『edge』を聴いてから、初回版特典のDVDで、代々木ライブでの『edge』のステージパフォーマンスを見てみてほしい。どうも、このパフォーマンスにインスパイアされたとしか思えなくなってくるのだ。
というかアルバムを通してイメージされるアンドロイドのような架空のPerfumeは、ライブステージでのPerfumeから想起されたんじゃないか?なんて思えてもくる。
もうどっちが先でどっちが後かなんてわからないけど、ステージを作る「チームPerfume」と、音源を作る「チームPerfume」、そして核となる彼女たちPerfume、みんなが見ている方向がひとつに向かってこれが出来たってことなんじゃないだろうか。



(余談)
だからね、いい加減あ~ちゃんがアルバムに不満を持ってるなんてガセニュースを信じている人たち、ほんとどうにかしてほしいよ。
荒しならいいんだけど本気っぽいから怖いわ。

でももうそこまで判断力のない人はこれからのPerfumeにはどんどん置いていかれるだけなのかもね。
これからPerfumeがどう変わっていくかは本当にまだ誰にもわからないけれど……未来の話をすれば、もっと自由にいろんな遊び方ができるようにはなるだろうな、と思っているけれど。

いつまで、どこまでわくわくしていられるのか。どこまで求めちゃっていいのか。

ま、その辺は今はまだ置いておくとして、とりあえず、アルバム、みんな聴きましょ。
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コメント

こんにちは。

あまりにも、あまりにもわが意を得た内容に、感激を隠せません。

これはもう、「コンセプチャル・ボーカルアルバム」です!

シングルの印象ががらりと変わったことも、ヤスタカがPerfumeのライブ・パフォーマンスに引っ張られてきたことも、判断力の無いリスナーやマスコミが置いていかれる、ということも。

夏フェスやコンサートで、三人がこのアルバムというヤスタカからのメッセージにどう答えを返すかが楽しみです。
ありがとうございます。

> これはもう、「コンセプチャル・ボーカルアルバム」です!
そうそう、今回ばかりはみんなわかるだろうと思ったのに、誰もそれを言ってくれなくて心細かったんですよ(笑)。コンセプト、すごい感じますよね。

他の部分も、同意見の方がいてくれてうれしいです。
あ~ちゃんが不安を感じているとしたら、ついてこれなくなったファンを置いてけぼりにしなければならない心苦しさかもしれない、なんて思ったりします。感謝と誠意でここまできた彼女たちですからね。
しかし彼女はファンが思うよりずっと大物なので大丈夫だと思いますが(^-^)

> 夏フェスやコンサートで、三人がこのアルバムというヤスタカからのメッセージにどう答えを返すかが楽しみです。
それがまた、新たなPerfumeストーリーに昇華されていくわけですね。
あ~ちゃんじゃないけど中田さん、変態じゃ(笑)。その妄想にこんだけ楽しませてもらってるんですけどね…!

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